アルマンダイト色のガラス・ビーズ ルルドの聖母 ケルビムのいるクルシフィクスのロザリオ


ロザリオを吊り下げたときのセンター・メダル上端までの長さ 27 cm

ロザリオの全長 43 cm

クルシフィクスのサイズ 50.8 x 33.5 mm



19世紀末にフランスで製作されたロザリオ。ブロンズと深紅のガラス・ビーズを使用しています。




ブロンズ製クルシフィクスは大きめのサイズで、打ち出し細工のコルプスをクロスに溶接しています。

コルプスの頭上には I.N.R.I. (IESUS NAZARENUS REX IUDAEORUM ラテン語で「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」)の文字が見えます。

クロスの交差部には円形の後光がひときわ大きく広がり、受難後三日めに復活することになるイエズス・キリストの、死に対する勝利と栄光を表しています。


クロスは各末端にケルビムあるいはプッティがいるために、特徴的なシルエットを有します。

ケルビムたちはキリストの受難を悲しむとともに、その栄光を讃えています。




クロスの裏面には、フランス語で「ミシオンから贈呈」(Souvenir de Mission) と記されています。


「ミシオン」(mission) とは、カトリックの振興を目的に、かつてフランスの教会によって盛んに行われ、現在でも小規模ながら続けられている運動です。

農村部を中心とした各地に宣教団が出向いて一定期間滞在し、説教を聞かせたり教理問答を教えたりします。

「ミシオン」での奉仕活動に参加した信徒には、教会から記念品が与えられ、「ミシオンから贈呈」(Souvenir de Mission) という言葉が書かれています。



センター・メダルはハート形で、神とイエズスを愛する聖母の心臓、すなわち聖母の汚れ無き御心を表しています。





メダルの表(おもて)面には1858年にルルドに出現した聖母と、聖母の前に跪く少女ベルナデット・スビルーが、打刻による浅浮き彫りで表現されています。


ここに描かれているのは1858年3月25日、16回目の出現の際の様子です。

天上の光に包まれて、茨の繁みに傷付くことなく立つ薔薇の花、ルルドの聖母は、胸の前に手を合わせ、ベルナデットに名を答えています。


このときの聖母の言葉は、メダルの周囲に標準フランス語で記されています。

Je suis l'Immaulee Conception.  わたしは無原罪の御宿りです。


その下には「ノートル=ダム・ド・ルルド」(Notre-Dame de Lourdes ルルドの聖母)と記されています。





上の写真において、定規のひと目盛は1ミリメートルです。

聖母の顔の高さはおよそ 0.5ミリメートルしかありませんが、目鼻立ちは整っています。衣の襞(ひだ)、ごつごつした岩の様子、崖の上の草木などの細部が、

十分の一ミリメートル、あるいは百分の一ミリメートルの正確さで、克明に再現されていることがわかります。


センター・メダルの裏面にはルルドのバシリカの細密な浮き彫りが打ち出され、周囲には次の祈りがフランス語で記されています。

Mille fois nous vous felicitons, Marie Immaculee.  罪無くして宿り給えるマリアよ、御身を幾度も限りなく讃えます。





下の写真において、定規のひと目盛はやはり1ミリメートルです。

バシリカの幅、高さとも 6ミリメートルほどのミニアチュール彫刻であるにもかかわらず、極小サイズの窓や石積みがバシリカの実物どおりに再現されていることがわかります。


これらの細部は肉眼では見えず、強力なルーペあるいは顕微鏡が必要です。19世紀フランスのメダイユ彫刻家が産み出す作品の精巧さには、驚きを禁じ得ません。






ビーズはアルマンダイト(アルマンディン・ガーネット)に似た色のガラス製で、一個一個が手作業でカットされています。

手作りですので形にばらつきがあります。








19世紀末は、フランスが普仏戦争とコミューンの痛手から立ち直り、パリをはじめとする都市が繁栄を謳歌した「ベル・エポック期」(la Belle Epoque 美しき時代)として知られています。

しかしながら農村部には産業革命と物質文明の恩恵もいまだ及ばず、信仰篤い人々が神に感謝しながら、昔と変わらず土を耕す日々を送っていました。

ミシオンから贈られたとあるこのロザリオを手に取ると、当時のフランス農村部の人々の信心深く質素な日常がまぶたに浮かびます。


本品は百年以上前に製作されたものであるにもかかわらず、大きな問題の無い良好な保存状態です。

クラウン部分のビーズ一個が失われていましたので、色、大きさ、形ともほぼ同じガラスビーズを使って補修いたしました。

信心具をはじめ、長く使い続けられたアンティーク品に補修の手が入るのは、人間が一生の間に病気にかかったり怪我をしたりして、そのたびに治療を受けるのと同じです。


詳細に調べれば、他にも部分的に破損したビーズ(すぐ上の拡大写真に写っているもの)がありますが、実物を見れば、実用上、美観上とも問題無いことがお分かりいただけます。

これらの小さな瑕疵は、大切に受け継がれてきた真正のアンティーク品ならではの味わいとしてお楽しみください。



16,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-391-7323) またはメールにてご注文くださいませ。



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