ルルドの聖母　アール・ヌーヴォー様式のアンティーク・メダイ　トルコ石色の不透明ガラスによるエマイユ　22.7 x 19.4 mm


突出部分を含むサイズ　縦 22.7 x 横 19.4 mm

フランス　　1910 - 30年代

　菱形に近いクッション形をしたアール・ヌーヴォー様式のメダイ。表（おもて）面にルルドの聖母の横顔、裏面に聖母出現のシーンを浮き彫りにしています。制作年代は20世紀前半で、定形化したモティーフのメダイとしては初期に属するものです。





　メダイの表（おもて）面には、クッションのように外側に膨らんだ菱形の画面に、歳若きノートル＝ダム・ド・ルルド（ルルドの聖母）の横顔を浮き彫りにしています。マリアを囲む背景部分にはトルコ石色のガラスによるエマイユが施されています。マリアは三重の枠に囲まれ、枠の四隅には一重咲きの薔薇が彫られています。薔薇は愛の象徴でもあり、棘だらけの繁みから無傷の花を咲かせるゆえに、無原罪の御宿りなるマリアの象徴でもあります。

　上の写真は実物の面積を 65倍に拡大しています。マリアの横顔は縦 4ミリメートル足らずの極小サイズですが、その顔立ちは整っており、柔和な表情が心の優しさと信仰の堅固さを形象化しています。歳若きマリアは軽く目を閉じ、優しい口許にかすかな微笑みを浮かべています。

　整った目鼻立ちの人物像を小さなサイズのメダイユ彫刻に表すだけでもたいへん優れた技量ですが、本品を制作した彫刻家は10代半ばのマリアの年齢を正確に再現し、優れた信仰までも可視化することに見事に成功しています。およそ百年前のフランスのメダイユ彫刻家が、いかに優れた技量を持っていたかがよくわかる作品です。





　メダイの裏面にはルルドにおける聖母出現の様子が浮き彫りにされています。長いロザリオを右腕に掛けた聖母は、胸の前に手を合わせて顔を上げています。ベルネデットは右手にシエルジュ（大ろうそく）、左手にロザリオを持ち、ヴェールを被って聖母の前に跪いています。

　1853年 3月25日、16回目の出現の際、少女ベルナデットが4回目繰り返して聖母に名前を問うと、聖母は目を天に向け、両手を胸の前で組んで、「わたしは無原罪の御宿りです」(Je suis l'Immaculée Conception.) と答えました。ここに浮き彫りにされているのはそのときの様子です。聖母とベルナデットのサイズは 2～3ミリメートルですが、取っている姿勢や顔の向き、衣の襞、持ち物、ベルデットのヴェールの薄さ、ごつごつした岩場の様子が、あたかも実際の出現の場面を眼前に見るかのように、輪情感豊かに再現されています。





　このメダイは百年近く前にフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、たいへん古い年代にもかかわらず良好な保存状態です。拡大写真はあまり綺麗に見えませんが、実物は写真よりもずっと美しく、ご満足いただけます。

本体価格　6,300円　販売終了　SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール（procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp）にてご注文くださいませ。




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