リジューの聖テレーズの優美なロザリオ。薔薇の象徴で知られる聖女にふさわしく、クルシフィクスとセンター・メダルには赤色エマイユ(七宝)を施し、59個の真紅のガラスビーズを使用しています。クルシフィクスとセンター・メダルに見られる左右対称の直線的デザインはアール・デコそのもので、1920年代から30年代にかけてのヨーロッパの雰囲気を色濃く残しています。
クルシフィクスの先端4箇所は薔薇の花を浮き彫りにしています。エマイユの赤色が下地の凹凸を強調し、精神性さえ感じさせる深みを浮き彫りに与えています。クルシフィクスの裏面にはリジュー
(Lisieux) の刻印があります。
センター・メダルにも薔薇の浮き彫りを施し、浮き彫りには赤色エマイユをかけてあります。一方の面には、薔薇が咲き零れるクルシフィクスを胸に抱く聖テレーズをあしらい、その周囲にラテン語で次の言葉を刻んでいます。
SANCTA TERESIA A JESU INFANTE 幼子イエズスの聖テレジア
もう一方の面には、薔薇が咲き零れるなか、十字架に掛けられた布にイエズスの聖顔をあしらい、その周囲にフランス語でテレーズの言葉を刻んでいます。
Mon Dieu, Je Vous aime. わが神よ。あなたを愛します。
薔薇は花弁が本来5枚であることから、キリストが受難において受けた5つの傷を象徴します。
ビーズはルビー・レッドのガラス製で、一個ずつ手作業でカットしてあります。通常の使用による小瑕(きず)がある程度で大きな破損はありません。ロザリオ全体はたいへん良いコンディションです。