稀少デッド・ストック品 ブルーのエマイユによるルルドの聖母 パート・ド・ヴェールのビーズ 大きな十字架の美麗ロザリオ 全長 56 cm


ロザリオの全長  56 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  39 cm


クルシフィクスのサイズ  47.0 x 28.0 mm

ビーズの直径  7 mm (概寸)


フランス  20世紀中頃



 1960年代頃のフランスで制作されたシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(chapelet de la Vierge 聖母のロザリオ)。青色のエマイユとガラス・ビーズ、シルバーに輝く金属部分の取り合わせが、地上に降り立った天上の聖母を感じさせる一品です。





 本品のクロスは 47 x 28ミリメートルと大きめのサイズで、シンプルなラテン十字を中核としつつ、縦木と横木は末端に向かって幅を広げ、曲線的シルエットを描いています。交差部には円形の大きな光背、各末端にはフルール・ド・リスの装飾があります。十字架の幅が広がってゆく部分には青色ガラスによるエマイユ・シャンルヴェが施され、本品のクロスの中核であるシンプルなラテン十字を際立たせています。


 フランス王の最初の紋章(1211 - 1376年)


 フルール・ド・リスは古代以来さまざまな文明圏で愛用された図柄ですが、近世以降、特にフランスの象徴と見做されていることは周知の事実です。また十二世紀になると、「アジュール(青)の地に、金色のフルール・ド・リスを散りばめた」(d'azur semé de fleurs de lis d'or) 紋章をフランス王家が使うようになりました。このときはフランスの色となりました。





 本品のクルシフィクスは、シンプルなラテン十字にコルプス(キリスト像)を取り付け、その周囲を青色エマイユとフルール・ド・リスで囲んでいます。この意匠はクルシフィクスを捧持する「カトリックの長姉」フランスを象徴するものに他なりません。





 フランス語で「クール」(cœur 心臓、ハート)と呼ばれるセンター・メダルは下部の幅が狭くなっており、ハート形を発展させた造形となっています。浮き彫り細工に半透明ガラスを掛けて焼成することにより、浮き彫りの三次元性を強調する工芸技法をエマイユ・シュル・バス・タイユ (l'émail sur basse-taille)といいます。本品のクールは、エマイユ・シュル・バス・タイユにより、歳若きマリアの横顔を表します。ナザレの少女マリアは信仰の象徴であるヴェールを被り、口許に微かな微笑みを浮かべて、瞑目しつつ神との親しき対話に沈潜しています。天使に受胎を告知されるという異常な出来事に遭遇しながら、マリアがその端正な横顔に何らの動揺も浮かべていないのは、アブラハムやヨブにも勝り、救い主の母となるべく神の眼に適(かな)った深い信仰ゆえです。

 クールの裏面にはルルドの岩場に現れたマリアとその前に跪くベルナデットが浮き彫りにされています。マリアの高さは 6ミリメートル、ベルナデットの高さは 5ミリメートル、頭部の高さは 1ミリメートルですが、聖母が手首に掛けたロザリオや衣の襞などの細部に至るまで、大型の浮き彫り彫刻作品と同様の丁寧さで仕上げられています。このように見事なミニアチュール彫刻は、メダイユ芸術が最も発達した国であるフランスのロザリオならではの特徴です。





 本品のビーズはパート・ド・ヴェール (la pâte de verre) と呼ばれる技法で制作されています。パート・ド・ヴェールは最古のガラス技法で、ガラスの粉末を再加熱して融解させ、オペーク(不透明)またはトランスルーセント(半透明)の製品を得ます。パート・ド・ヴェールは制作にたいへん手間がかかるために大量生産に向かず、また大型の製品を作ることもできません。このため吹きガラス等、他の製法に駆逐されて姿を消しましたが、19世紀末、考古学に関心の深かった象徴主義の彫刻家アンリ・クロ (Henry Cros, 1840 - 1907) によって息を吹き返しました

 本品のビーズは直径 7ミリメートルほどで、十八面のファセット(小さなカット面)を有します。ビーズは型に流し込んで成形したのではなく、すべて手作業でカットされているため、ファセットの形と大きさは少しずつ異なります。写真を見ても分かりませんが、濃い青と淡い青のガラス粉末を融着させたパート・ド・ヴェールは、あたかも昆虫の複眼のような、オーソレーズのシラー(独 Schiller)のような、ラブラドレッセンスのような、あるいはベルベットの光沢にも似た、柔かい深みのある神秘的な輝きを有します。光の入射角が変わるごとにビーズの表面を移動するこの輝きを、写真で再現することは不可能です。実物を手に取っていただければ、必ずご満足いただけます。





 本品は数十年前に制作された真正のヴィンテージ品でありながら、未販売の新品であるゆえに、制作された当時のままの良好な保存状態です。ガラス製ビーズはすべて揃っています。制作の際、あるいは長期間の保管の際に生じたと思われるフリーバイト(極小のキズ)がところどころにありますが、特筆すべき問題は何もありません。エマイユにも亀裂や剥落はありません。チェーンの強度も問題ありません。





本体価格 21,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




聖母のロザリオ(5連) 20世紀中頃までのもの 未販売商品の商品種別表示インデックスに戻る

聖母のロザリオとシャプレ 一覧表示インデックスに戻る


聖母のロザリオ(5連) 商品種別表示インデックスに移動する

聖母のロザリオとシャプレ 商品種別表示インデックスに移動する


ロザリオとシャプレ 商品種別表示インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS