銀無垢の高級品 淡いピンクの大型ガラス・ビーズ フランスのアンティーク・ロザリオ


全長 52 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  35 cm

全体の重量 56.5 g


ビーズの直径 9 ~ 10 mm

クルシフィクスのサイズ 44.6 x 28.4 mm (上部の環を含む)


フランス  19世紀後半



 800シルバー製のセンター・メダルとクルシフィクス、淡いピンクの透明ガラス製ビーズを使用したシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(聖母のロザリオ)。19世紀のフランスで制作された美しい品物です。





 クルシフィクスは銀無垢の十字架に、立体的かつ非常に写実的なコルプス(キリスト像)を溶接しています。十字架は装飾的なシルエットのラテン十字で、交差部の四隅にフルール・ド・リス(百合文あるいはアヤメ文)を配し、縦の柱と腕木の中心線に六芒星(ダヴィデの星)を並べます。十字架は幅広であり、かつ象徴的な図形を多用していますが、透かし細工が産み出す視覚的効果ゆえに、軽やかな印象を与えます。

 十字架上部の環には、フランスにおいて800シルバーを表す「イノシシの頭」のホールマークが刻印されています。





 フランス語でクール(cœur 「心臓」)と呼ばれるセンター・メダルは、マリアの頭文字である "M" を象(かたど)り、アカンサスをモティーフとした透かし彫りが施されています。アカンサスとはハアザミのことで、葉の縁、及び花の下にある苞(ほう)が棘状に尖っています。アカンサス(ἂκανθος アカントス)という名称はギリシア語で「棘のある花」という意味で、「アカンタ」(ἂκανθα 「棘」)と「アントス」(ἂνθοϛ 「花」)に由来します。





 コリント式柱頭を見てもわかるように、アカンサスの意匠は古代ギリシア以来使われ続けていますが、キリスト教文化の象徴体系において、棘のある植物アカンサスは「苦しみ」や「死」を表します。創世記3章において、原罪を犯したアダムに神が言われた言葉を、七十人訳と新共同訳によって引用いたします。


17
τῷ δὲ Αδαμ εἶπεν Ὅτι ἤκουσας τῆς φωνῆς τῆς γυναικός σου καὶ ἔφαγες ἀπὸ τοῦ ξύλου, οὗ ἐνετειλάμην σοι τούτου μόνου μὴ φαγεῖν ἀπ αὐτοῦ, ἐπικατάρατος ἡ γῆ ἐν τοῖς ἔργοις σου· ἐν λύπαις φάγῃ αὐτὴν πάσας τὰς ἡμέρας τῆς ζωῆς σου·
.. 神はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い/取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。
18 ἀκάνθας καὶ τριβόλους ἀνατελεῖ σοι, καὶ φάγῃ τὸν χόρτον τοῦ ἀγροῦ. お前に対して/土はとあざみを生えいでさせる/野の草を食べようとするお前に。
19 ἐν ἱδρῶτι τοῦ προσώπου σου φάγῃ τὸν ἄρτον σου ἕως τοῦ ἀποστρέψαι σε εἰς τὴν γῆν, ἐξ ἧς ἐλήμφθης· ὅτι γῆ εἶ καὶ εἰς γῆν ἀπελεύσῃ. (Saptuaginta) お前は顔に汗を流してパンを得る/土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」 (新共同訳)



 したがって本品のクールにあしらわれたアカンサス文は、アダムとエヴァの原罪ゆえにイエズス・キリストが受け給うた苦しみと死を表すとともに、ひとり子イエズスを喪った聖母の悲しみ、あるいはマーテル・ドローローサとしての聖母をも象徴しています。

 クルシフィクスを下にして本品を吊り下げると、クールが倒立しますが、これは19世紀のフランスで制作されたロザリオに見られる特徴です。クールと鎖を繋ぐ環のひとつに、800シルバーのホールマークが刻印されています。





 ビーズは淡いピンク色で、直径9ないし10ミリメートルと、かなり大きなサイズです。光学レンズにも使用可能と思われる高品質のクリスタル・ガラスを使い、五角柱の上下に五面ずつ、正三角形のファセット(小面)を付け加えた珍しい形状をしています。五角柱の側面にあたる五つの四辺形のみが手作業でカット、研磨されているために、細石(さざれいし)のように自然で無作為な温かみと、カットした宝石のような硬質の輝きを併せ持つ不思議な効果を産み出しています。





 本品のクルシフィクスとクールは、いずれも800シルバー無垢です。銀は信心具の素材として最も高級なもので、普通はめっきとして使われますが、このロザリオは銀を惜しみなく使った高級品です。クリスタル製の美しいビーズも本品の魅力です。このビーズはかなり大きめのサイズであるゆえに、本品には 56.5グラムの重量があります。これは百円硬貨12枚分、または500円硬貨8枚分に相当し、高級感のある立派なサイズですが、ビーズの色が優しいピンクで、金属部分も透かし細工となっているために、視覚的には軽やかで、重量を感じさせません。

 19世紀に制作された古い品物であるにもかかわらず、本品はたいへん良好な保存状態です。特筆すべき問題は何もありません。





本体価格 32,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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