ヤコブ原福音書
protoevangelium of James


 ヤコブ原福音書には「いとも聖なる、神の母にして永遠の処女なるマリアの誕生の物語」という副題が付いており、マリアの生誕前からイエスの生誕に至るまでの出来事を扱っています。2世紀末ころに成立したと考えられ、最古の写本はギリシア語による3世紀のもの (Papyrus Bodner V) で、シリア語、アルメニア語のものも存在します。

 この書物が「福音書」(προτοευαγγέλιον, protoeuangelion) と呼ばれるのは、正典福音書の内容よりも以前に起こった出来事を記述しているという意味であって、正典福音書が依拠した資料というような意味ではありません。

 ヤコブ原福音書において、聖母マリアはイエスを生んだ後も処女であったとされています。この内容的特性のゆえに、ヤコブ原福音書は東方教会のギリシア教父たち、シリア教会、コプト教会、アルメニア教会で特に尊重されました。また聖母マリアの出生と、神殿で育った幼時の物語の典拠として、中世、ルネサンスの西ヨーロッパ美術にも強い影響を及ぼしました。「岩窟の聖母」のテーマも、マリアが洞窟でイエスを生んだとするヤコブ原福音書の影響を感じさせます。

(下) Tiziano Vecelli, La presentazione della Vergine al Tempio, 1538, oil on canvas, 775 x 335 cm, Gallerie dell'Accademia, Venice






(下) Leonardo da Vinci, Vergine delle Rocce, 1495 - 1508, oil on panel, 189.5 x 120 cm, the National Gallery, London




(下) Francisco de Zurbarán y Salazar, Childhood of the Virgin, 1658 - 1660, oil on canvas, 74 x 54 cm, The Hermitage, St. Petersburg






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