稀少品 ル・ピュイ=ノートル=ダムの聖母 優れた細密彫刻のメダイ 直径 18.8 mm


突出部分を除く直径 18.8 mm

フランス  1920 - 30年代



 西フランスのアンジュー地方にある町、ル・ピュイ=ノートル=ダムの聖母のメダイ。表(おもて)面に聖母子像ノートル=ダム・デュ・ピュイ=ノートル=ダム(ル・ピュイの聖母)を、裏面にこの聖母像を安置する聖堂を、それぞれ細密な浮き彫りによって表しています。





 アンジェ(Angers ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏マイヌ=エ=ロワール県)を中心都市とするアンジュー(Anjou)地方では、ガリア(フランス)のみならず、他のどの国、どの地方にも先駆けて、聖母生誕の祝日が祝われたと伝えられます。アンジェ司教区で祝われる聖母生誕の祝日はフェリア・アンデガウェンシス(羅 FERIA ANDEGAVENSIS アンジェの祝日)と呼ばれ、その起源を 429年に遡ります。フェリア・アンデガウェンシスに関しては、当時のアンジェ司教聖マウリリウス(聖モリール)に対して聖母が出現し、生誕記念日を祝うように求めたとの起源説話が伝わりますが、実際にはガリアに伝えられたキリスト教の聖母が、ガリア人の地母神「ウィルゴー・パリトゥーラ」(羅 VIRGO PARITURA 子を産む処女)と習合し、その祝日がアンジェで最初に定められたものと考えられます。

 「ウィルゴー・パリトゥーラ」(子を産む処女)といえば、シャルトル司教座聖堂ノートル=ダムの地下に安置されているノートル=ダム・ド・ス=テール(仏 Notre-Dame de Sous-Terre 地下の聖母)がよく知られています。シャルトルをはじめ、地母神の聖地はガリア中に多数分布していたと考えられますが、聖母生誕の祝日がアンジュー地方に発祥した理由はいまのところ分かっていません。





 本品に彫られた「ル・ピュイの聖母」(Notre-Dame du Puy)はアンジュー地方各地に分布するノートル=ダム・アンジュヴィーヌ(仏 Notre-Dame angevine アンジューの聖母)のひとつです。本品に彫られた聖母子像は、母に甘えてしがみつく幼子イエスと、幼子に頬を寄せる聖母の愛情深い仕草がたいへん微笑ましく、どこにでもいる普通の母子のような親しみやすさを感じさせます。

 聖母に執り成しを求めるフランス語の祈りが、浮き彫りを囲むように刻まれています。

  Notre-Dame du Puy Notre-Dame, priez pour nous.  ル・ピュイ・ノートル=ダムの聖母よ。我らのために祈り給え。





 上の写真に写っている定規のひと目盛りは、一ミリメートルです。母子の顔の各部や幼子の手足は一ミリメートルに満たない極小サイズですが、全ての部分は形が良く整い、大型の浮き彫り彫刻に勝るとも劣らない出来栄えです。薄絹のように軽やかな衣を通して若き母の女性らしい体つきが巧みに表現され、生身の聖母子を眼前に見る錯覚さえ覚えさせます。





 裏面には聖母像を安置する同名の聖堂、ノートル=ダム・デュ・ピュイ=ノートル=ダム(羅 ECCLESIA BEATAE MARIAE DE PODIO 仏 l'église Notre-Dame du Puy-Notre-Dame ル・ピュイ=ノートル=ダムの聖母教会)が、表面に劣らない精緻な浮き彫りで再現されています。ノートル=ダム・デュ・ピュイ=ノートル=ダムには「聖母の帯」とされる聖遺物があって、マリアの巡礼地となっています。

 一般のロマネスク聖堂は、東(オリエーンス)を向いて定位されます。すなわち聖堂の長軸が東西に延びていて、東端付近に後陣があります。このように聖堂を東向きに定位することを、オリエンタシオン(仏 orientation)、オリエンテーション(英 orientation)といいます。しかるにこの聖母を安置するル・ピュイの聖母教会は真東に向かって定位されるのではなく、たいへん珍しいことに、聖母生誕の祝日である九月八日の日の出の方角に向かって定位されています。これはル・ピュイの聖母教会が「聖母マリアの生誕」に捧げられていることを意味します。それゆえル・ピュイの聖母教会は、フェリア・アンデガウェンシス(聖母生誕の祝日)が発祥したアンジュー地方ならではの聖堂建築と言えます。





 上の写真に写っている定規のひと目盛りは、一ミリメートルです。建物の各部は一ミリメートル未満のサイズで彫られていますが、手前両側の樹木や自然な地面の起伏が表されているために、浮き彫りが有する「絵画的彫刻」としての特性が最大限に発揮され、実物の石造建築が有する圧倒的な重量感が思いがけない迫真性を以て再現されています。





 本品は九十年近く前にフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず、保存状態は極めて良好です。表裏の浮き彫りは突出部分もほとんど摩滅せず、聖母子の目鼻立ち、聖母が纏う軽やかな薄絹の衣、女性らしく丸みを帯びた体つき等の細部が、制作当時のままの状態でよく残っています。





本体価格 14,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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