未販売の新品 乙女が身ごもり、男の子を生む。その名はインマヌエルと呼ばれる 《閉じられた書物たるマリア 処女懐胎の美麗アンティーク・メダイユ 直径 23.8 mm》 封蝋を模る大型の作例 フランス 1960年代


突出部分を覗く直径 23.8 mm   重量 2.7 g



 少女マリアの横顔を浮き彫りにしたフランスのメダイ。十九世紀末に設立されたメダイユとビジュ・ド・ファンテジ(仏 les bijoux de fantaisie コスチューム・ジュエリー)のブランド、オリア(Oria)が 1960年代に制作した美しい作品で、ブロンズまたは真鍮の板に厚い金張りを施し、打刻と打ち抜きを行っています。打ち抜きの際に生じる縁の返りは、手作業で鑢(やすり)を掛けて丁寧に取り除かれています。不定形の外周は高く盛り上がっていますが、オリアの金張りはたいへん分厚いので、隆起して引き伸ばされた部分においても十分な厚みを保っています。





 昔のフランスで使用された金合金は、金無垢製品の場合もビジュ・ファンテジ(コスチューム・ジュエリー)の場合も銅の含有率が高く、他国の金合金に比べて赤みを帯びています。本品のめっきあるいは金張りにもローズ・ゴールド(ピンク・ゴールド)寄りのイエロー・ゴールドが使われていますが、ローズがかった色が見えるのは不定形の輪郭を有する外周部分のみで、マリアとマリアの背景を含む中央の円形部分には、ローズがかった金の上に黄色味の強い金を被せています。

 ローズがかった環状部分は艶やかな鏡面仕上げ、黄色味の強い円形部分は艶消し仕上げです。艶消しに仕上げられたマリアの姿はあたかも神の愛に抱かれるように、あるいは聖性の微光を発するかのように、柔らかな金の光に包まれています。





 「イザヤ書」七章十四節の預言を、七十人訳と新共同訳により引用いたします。

     LXX    新共同訳
      διὰ τοῦτο δώσει κύριος αὐτὸς ὑμῖν σημεῖον· ἰδοὺ ἡ παρθένος ἐν γαστρὶ ἕξει καὶ τέξεται υἱόν, καὶ καλέσεις τὸ ὄνομα αὐτοῦ Εμμανουηλ·     それゆえ、わたしの主が御自らあなたたちにしるしを与えられる。見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。


 ギリシア語パルテノス(希 παρθένος)は処女のことで、アルテミスを初めとする処女神のエピセットにも使われます。アテーナの神殿として有名なパルテノーン(希 παρθενών)はパルテノスの複数属格で、この神殿内に設けられていた処女の部屋に由来すると考えられています。広義のパルテノスは少女全般を指しますが、この語はとりわけ処女性を連想させます。「マタイによる福音書」一章二十三節は上記の「イザヤ書」を引用し、マリアの処女懐胎の宗教的根拠としています。





 本品の環状部分は封蝋を模ります。封蝋は箱や文書が開封されていないことを示す可視的な印です。本品において艶やかに輝く封蝋は、輝かしきミステリウムであるマリアの処女懐胎を象徴します。

 処女であるのに身ごもったマリアは、閉じられた本に譬えられます。なぜならばイエスはロゴス(希 λόγος ことば)であって、このことばは男性が処女の体を開くことなしに、処女のうちに書き込まれた(処女の胎内に宿った)からです。

 イタリアの宗教美術には聖母を臨月の妊婦として描いた図像があって、これをマドンナ・デル・パルト(伊 la Madonna del Parto)と呼んでいます。イタリア語マドンナ・デル・パルトをそのまま訳すと分娩の聖母、出産の聖母という意味ですが、分娩中の場面を描いているわけではないので、懐妊の聖母と訳すのが良いでしょう。閉じられた本はマドンナ・デル・パルトの持物(じぶつ アトリビュート)としてよく描かれます。





 旧約聖書の時代、ユダヤの民は幾度も繰り返して神を怒らせ、神はそのたびにユダヤ人から恩寵を取り上げ給いました。しかしながらマリアが自身の処女懐胎の告知を受け入れて以降、神が人間から救いの恩寵を取り上げ給うことはなくなりました。マリアが受胎告知を受け容れたことによって、救済の経綸は確定しました。救い主を殺害するという不法の極みが犯されたにもかかわらず、神は救い主を燔祭の子羊とし、その犠牲によって救世を達成し給うたのです。

 「イザヤ書」の預言にあるインマヌエルとは、神我らとともにいます(神は私たちとともにおられる)という意味です。人間はあろうことか救世主を捕えて殺害したのに、神は人間から離れ給わず、それどころか救い主の受難を通して救世を達成し給いました。これは真に驚くべきことであり、これを成し遂げ給うた神とキリストの愛は人知を絶します。


 封蝋で閉じられた容器は物を入れることができないだけでなく、そこから物を取り出すこともできません。それゆえ封蝋を模った本品は、マリアが救いを受け容れて、救世の経綸が確定したことを示します。救世主はあくまでもイエスであってマリアではありませんが、本品は救世の経綸におけるマリアの役割を強調し、いかにもカトリック文化圏のフランスらしい作品となっています。





 上の写真では左上方の環にオリアの刻印が見えています。

 オリア(Oria)は十九世紀末、おそらく 1897年頃のフランスで設立されたビジュ・ド・ファンテジ(仏 bijoux de fantaisie コスチューム・ジュエリー)のブランドです。フランソワ=オーギュスト・サヴァール(François-Auguste Savard, 1803 - 1875)のフィクス(Fix)、シャルル・ミュラ(Charles Murat, 1818 - 1897)が 1847年に設立したミュラ(Murat)に比べると、オリアは後発ですが、その品質はフィクス、ミュラに比べて引けを取らず、1924年のナント博覧会で金メダル、1929年のバルセロナ博覧会で金メダル、1930年のアントワープ博覧会でも特別賞、1931年のパリ博覧会で大賞を獲得しています。





 本品のように美麗なメダイは、多くの場合、初聖体あるいはコミュニオン・ソラネルを受ける少女のために買い求められたものです。聖体を拝領する少女はキリストの花嫁であり、ローブ・ド・マリエ(仏 robes de mariée 花嫁のローブ、ウェディング・ドレス)を身に着けます。ヨーロッパ絵画の伝統において、未だイエスを産んでいないマリアは十三歳ぐらいの少女として表されます。本品のマリアも初々しい少女として表現されており、ちょうどそれぐらいの年齢で聖体を受けるフランスの少女たちの身を飾るのに、如何にもふさわしく思えます。

 なお初聖体のときに身に着けたメダイやシャプレは、一度きりしか使われない飾りではありません。とりわけオリアのメダイは大人の女性が愛用するにふさわしい上質さを備え、末永く愛用できます。本品は未使用品であるゆえに、特定の少女の記念品ではありませんが、無垢な心を失わない女性にご愛用いただきたい小さな美術品となっています。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもさらにひと回り大きく感じられます。

 本品のめっきは僅かに赤みがかったイエロー・ゴールドをベースにしています。ローズ・ゴールド寄りの金色を一目見れば、フランス製ヴィンテージであることがわかります。古い時代のフランスで作られたメダイは美しい作品が多いですが、本品も現代品に比べて格段にクラシカルであり、ファイン・ジュエリーに引けを取らない高級感を備えます。





 本品はおよそ六十年前のフランス製品ですが、珍しいことに未販売のまま保管されていた品物で、極めて良好な保存状態です。オリアのメダイは金の層が厚いですし、そもそもペンダントの表(おもて)面が何かと擦れ合うことはほとんどありませんから、長年に亙って美しい状態を保ちます。裏面は肌や服地に触れますが、裏面には何も彫られておらず、またメダイは軽量であるゆえに、擦れる面に大きな力が掛かることはありません。それゆえ本品を日々身に着けても、いずれの面も摩滅はほとんど起こらず、安心してご愛用いただけます。





 本品の保存状態は極めて良好ですが、レプリカ(複製品)ではなく、六十年近く前に作られた真正のアンティーク品(ヴィンテージ品)です。オリアのメダイは金張りが高品質ですし、とりわけ本品は未使用品ですので、新品当時の状態をそのまま保っています。

 本品は本品は五百円硬貨に近い大きなサイズですが、重さは 2.7グラムと軽量です。金の輝きもたいへん上品であり、時と場を問わず日々ご愛用いただけるメダイユに仕上がっています。本品の実物は写真で見るよりもはるかに美しく、お買い上げいただいた方には必ずご満足いただけます。





本体価格 19,500円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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