「神なる幼子よ、われらを守りたまえ」と書かれた稀少なフランス製アンティーク・メダイ。ブロンズに銀めっきを施しています。幼子イエズスのメダイはプラハの幼子イエズスのものがほとんどです。「神なる幼子よ、われらを守りたまえ」という祈りが刻まれたメダイは、ザッキの作品以外に目にしたことがありません。
メダイの表(おもて)面には、雲の上に立つ幼子イエズスが浮き彫りにされています。イエズスは世界の支配権を表す十字架付きの世界球「グロブス・クルーキゲル」(GLOBUS CRUCIGER ラテン語で「十字架付球体」の意)を右手に持ち、左手を挙げて祝福しながら、慈愛に満ちた微笑みを浮かべています。これを取り囲んで、次の祈りがフランス語で記されています。
Divin Enfant, protégez-nous. 神なる幼子よ、われらを守りたまえ
メダイの向かって右下、縁に近いあたりに、彫刻家 A. ザッキのサイン (A. ZACCHI) があります。
メダイの裏面には二本の花を束にしたものが彫られています。一本は百合、もう一本は薔薇でしょうか。百合は高い香気によって優れた徳と純潔を象徴します。薔薇は古来愛の象徴であす。特に赤い一重の薔薇が有する五枚の花弁は、キリストが両手両足と脇腹に負い給うた五か所の傷の象徴であり、人知を絶する至高の愛、神の愛を表します。
このメダイの直径は 20.3ミリメートルで、一円硬貨とほぼ同じサイズです。材質はブロンズに銀めっきを施していますが、突出部分にもめっきの剥がれはありません。イエズスの顔の表情や衣のひだ等、細かい部分もよく判別できます。いまからおよそ80年前のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらずたいへん良好な保存状態で、特筆すべき問題はありません。