「聖なる童貞 イエズスの御母」 知恵の座 上智の座の聖母 イタリアの美麗アンティーク・カニヴェ (A. レオナルディ 図版番号不明)

Vergine Santa Madre di Gesu, A. Leonardi

109 x 67 mm

イタリア  19世紀後半



繊細な透かし細工が美しいイタリアのアンティーク・カニヴェ


聖母は右手にペン、左手に小さな本を持ち、幼子イエズスを膝のあいだに抱き寄せて読み書きを教えています。

幼子イエズスは本の文字に興味をそそられて、聡明そうな視線を本の上に一心に注いでいます。





神のひとり子イエズス・キリストは三位一体の第二のペルソナたる神であり、神は全知全能であるはずです。

しかるにまたその一方で、イエズス・キリストは位格的結合により、完全な人間でもあります。

したがって幼子イエズスは、福音書に「イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された」(ルカ2:52)とあるように、人間の幼児と同様に少しずつ成長されました。

人間である聖母が神の子イエズスに読み書きを教える姿は、イエズスにおける完全な人性を表しています。


このように本品においては聖母がイエズスに読み書きの知恵を授けているわけですが、

聖母の膝のあいだにいるイエズスはやはり知恵を体現しているのであって、

この作品がセーデース・サピエンティアエ(SEDES SAPIENTIAE ラテン語で「知恵の座」「上智の座」)と呼ばれる聖母像の一類型であることに変わりはありません。

下の参考画像は15世紀の作品ですが、やはりイエズスは普通の幼児と同じように読み書きを学び、母の膝で疲れて眠っています。


 Henri Bellechose (fl. 1415), La Vierge a l'ecritoire


下の画像はカニヴェの版画を約60倍の面積に拡大しています。定規のひと目盛は1ミリメートルです。

聖母子の姿は、肌、衣のいずれも手間を惜しむことなく、ほとんど全面的にグラヴュール(エングレーヴィング)で表され、オー・フォルト(エッチング)は補助的にしか使われていません。

1ミリメートルあたりのグラヴュールの線は4ないし6本前後を数えることができ、その細かさに圧倒されます。





画像の下端部に、カニヴェの版元の名前と所在地が書かれています。

A. Leonardi, Via Popolo, 47  A. レオナルディ、ポポロ通 47番地


表(おもて)面の最下部には、イタリア語で「聖なるおとめ イエズスの御母」(Vergine Santa, Madre di Gesu) と書かれていますが、

この表題は透かし細工が重ねられてほとんど消えています。

聖母子の版画はイタリアの版元のものですが、このカニヴェはフランス国内で、あるいはフランス向けに製作されたものなので、イタリア語の表題は不要だったのでしょう。


なおこのカニヴェにおいて、聖母には透かし細工の非常に大きな後光がありますが、神のひとり子であるはずの幼子イエズスには、透かし細工によっても版画によっても後光が表されていません。

イタリア、フランスをはじめとするカトリック文化圏において、聖母の存在がときにはキリスト自身を凌ぐほど大きいものであることが良く分かる興味深い作品です。


本品は19世紀のカニヴェのなかでも、聖画の出来栄え、レース状部分の繊細さとも、とりわけ優れたもののひとつで、保存状態も極めて良好です。

このように繊細な紙製品が完品に近い状態で現在まで保存されていたのは、まったく驚くべきことです。



カニヴェの価格 22,800円

電話 (078-391-7323) またはメールにてご注文くださいませ。別料金にて額装をご注文いただくことも可能です。



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