

「神よ、御身が教会に示し給うたあらゆる真理と、マリアのために為し給うた驚くべき御業を信じます」
世紀末の薔薇のカニヴェ (版元不詳)
Mon Dieu, je crois que toutes les verites que vous avez revelees a votre
sainte Eglise...
101 x 64 mm
フランス 1890年代頃
フランスのアンティーク・カニヴェのなかでも、とりわけ華やかな切り紙細工を施した作品。
普仏戦争とコミューンの痛手から立ち直ったフランスが繁栄を謳歌した古き良き時代、19世紀末のベル・エポックに製作されたカニヴェで、
全面に施された華麗な切り紙細工は世紀末の爛熟した文化にいかにもふさわしく、建築様式に喩えれば後期ゴシックのフランボワヤン式を連想さます。
ミル打ち風のエンボス(型押し)で縁取られた中央の楕円形画面に、左手に百合を持ち、マントを広げて胸元の汚れ無き御心を示す聖母を、精緻なオー・フォルト(エッチング)で描いています。
百合は純潔の象徴であるとともに、「雅歌」に見られる次の聖句により、神に愛される女性マリアの象徴でもあります。
Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias. (Nova Vulgata) おとめたちの中にいるわたしの恋人は 茨の中に咲きいでたゆりの花。
(「雅歌」 2:2 新共同訳)
ロザリオで唱えられる祈り「天使祝詞」(アヴェ・マリア)は、神に選ばれ、聖霊によって身ごもった処女マリアへの祈りですが、
「受胎告知」の絵画では、画面のどこかに白百合が描かれる場合が多くあります。
【下】 Luca Giordano, "The Annunciation," 1672, oil on canvas, 236 x 170 cm, The Metropolitan Museum of Art, New
York

マリアの聖心、汚れ無き御心は、百合と同様に聖母を象徴する薔薇の花環、すなわちロザリオに取り巻かれ、神とイエズスに対する愛の炎を噴き上げています。
マリアの後光に浮き出た十字架と、マリアの聖心を刺し貫く悲しみの剣は、最愛のイエズス・キリストの受難を、イエズスと一体になって苦しみ悲しむマリアの愛を表しています。
聖母は百合、薔薇をはじめとする花々に取り囲まれています。
薔薇のモティーフは、カニヴェの中ほどの切り紙細工においてもエンボス(型押し)を伴って繰り返されています。
カニヴェの裏面にはマリアの汚れ無き御心への信心を勧める言葉がフランス語で書かれています。内容は次の通りです。
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Mon Dieu, je crois que toutes les verites que vous avez revelees a votre sainte Eglise, et, en particulier, les merveilles ineffables que vous avez operees en faveur de la Sainte Vierge. |
わが神よ。御身がご自身の聖なる教会に示し給うたあらゆる真理を、特にマリアのために為し給うた驚くべき御業の数々を、私は信じます。 |