リジューの聖テレーズ(テレジア)の聖遺物である「最初の棺の下から集めた土」。紙に包んだ土が、布製サシェ(小袋)に封入されています。一枚目の商品写真は同じ物の表裏を写しています。商品の数は一点です。
一方の面には次の言葉をフランス語で紙に記し、貼り付けています。
terre recueillie sous le cercueil de Ste. Thérèse de l'Enfant-Jésus 幼きイエズスの聖テレジアの棺の下から集めた土
キリスト教では、古代以来、殉教者や有徳の聖者の遺体を聖遺物として崇敬してきました。聖者を埋葬した墓所の土も聖遺物と看做されましたが、それは遺体が分解して土に浸透したゆえに、墓所の土が聖人の遺体に準ずる物と看做されたからです。また聖人の身に触れ、あるいは身近にあった物もまた、聖人の徳がいわば乗り移った物と考えられ、「聖遺物」と看做されました。リジューのテレーズの遺体は、列福、列聖に向けて二度の開棺調査が行われ、腐敗していないことが確認されましたから、遺体が分解して土に浸み込むことは無かったわけですが、墓所の土は、聖女の遺体のそばにあった聖遺物として大切にされました。
リジューの修道女テレーズは生前からその聖性を慕われ、1897年に亡くなった直後から、大勢の巡礼者が墓所を訪れ、土を持ち帰りました。棺が発掘された1910年の時点で、テレーズはまだ列福も列聖もされていませんが、棺に触れていた土が早くも聖遺物として採取されたことからも、聖女への敬慕の高まりがうかがえます。
もう一方の面には、跣足カルメル会の紋章が貼られています。カルメル会の紋章を囲む楕円の帯に、フランス語で「カルメル会修道院」(Monastère des Carmélites)、「カルヴァドス、リジュー」(Lisieux,
Carvados) と書かれています。
本品はリジューのカルメル会修道院で、丁寧な手作業により、修道女たちがひとつひとつ制作したものです。サシェに貼られた紙片の文字も、修道女による手書きです。製作された当時のままの良好な保存状態です。特筆すべき問題は何もありません。