ローベルト・ユリウス・バイシュラーク作 「聖母子」 338 x 245 mm 大判の石版画 1883年
„Madonna mit dem Jesuskind“, 1883, eine Lithografie, 338 x 245 mm
原画の作者 ローベルト・ユリウス・バイシュラーク(Robert Julius Beyschlag, 1838 - 1903)
画面のサイズ 338 x 245 mm
十九世紀後半のドイツで活躍した画家ローベルト・ユリウス・バイシュラークによる聖母子。幼子イエスを抱く聖母の姿を、同時代の風俗画として描いています。
この作品においてマリアの髪は暗色に、イエスの髪は明色に描かれています。親と子で髪の色が異なるのは常人の母子にも普通に見られることではありますが、この作品においてイエスの髪の色が母と大きく異なるのは、イエスが聖霊によって身ごもられた子どもであることを暗示しているのでしょう。
バイシュラークが活躍した十九世紀後半のヨーロッパでは、美術の世界においてもオリエンタリスムがもてはやされていました。しかしながらバイシュラークはこの作品において、聖母の髪を濃い色に描いているほかは、中東の文化や民族性を想起させる特徴を描き込んでいません。すなわちバイシュラークが本品に描いたマリアの衣は十九世紀のヨーロッパ女性の服装と変わりがなく、イエスの髪の色もヨーロッパの子どものようです。
これらの特徴は考証の不足によるものではなく、意図的な表現です。聖母子が身の回りにいる普通の親子のように描かれているのは、受肉のミステリウムを視覚的に強調するために他なりません。また聖母子を画家自身と同時代、同地域の人物のように描いているのは、受肉のミステリウムが有する時間的・空間的超越性を明示するためです。イエスは全時代・全地域の人々のために受肉し給うたこと、聖母子は《いま、ここにおいても》働いておられるという深遠な宗教的真理が、親しみやすい風俗画のうちに視覚化されているのです。
ローベルト・ユリウス・バイシュラーク(Robert Julius Beyschlag, 1838 - 1903)は 1838年7月1日、南ドイツのネルトリンゲン(Nördlingen)に生まれ、ミュンヘン美術学校(die
Akademie der Bildenden Künste München)において歴史画家フィリップ・フォン・フォルツ(Philipp von
Foltz,.1805 - 1877)に師事しました。
バイシュラークは甘美な女性像や母子像を得意とし、さまざまな時代の女性の肖像を描いた連作「フラウエンロープ」(„Frauenlob“ ドイツ語で「女性礼賛」の意)を遺したほか、ミュンヘンの国立バイエルン美術館(das Bayerische Nationalmuseum)に描いたフレスコ画によっても知られています。ローベルト・ユリウス・バイシュラークは
1903年12月5日、ミュンヘンで亡くなりました。
上の写真は額装例です。この額のサイズは縦 50センチメートル、横 30センチメートルで、マットに赤のヴェルヴェットを張っています。この額装の参考価格は
32,000円です。
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