さくらんぼのごちそう
A Feast of
Cherries
スティール・エングレーヴィング 1860年代
原画の作者 マイルズ・バーケット・フォスター (Myles Birket Foster, 1825 - 1899)
版の作者 トーマス・ブラウン (Thomas Brown, fl. 1871 - 87)
画面サイズ 178 x 255 mm
≪原画の作者について≫
フォスター(Myles Birket Foster 1825-1899)はヴィクトリア時代のイギリスで最も重要な水彩画家のひとりです。フォスター自身はラファエル前派の画家ではありませんが、
バーン=ジョーンズ(Sir Edward Burne-Jones 1833-98)やロセッティ(Dante Gabriel Rossetti
1828-82)、またウィリアム・モリス(William Morris 1834-96) とも親交がありました。「パンチ」や「ザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ」、「イラストレイテッド・ロンドン・オールマナック」等のイラストレーター、また美術収集家としても知られています。
フォスターは田舎の小道や田園風の小屋、ひなびた村の風景、花咲く生垣など、牧歌的な風景の名手で、ロングフェローの「エヴァンジェリン」、キーツの「ハイペリオン」のほか、サー・ウォルター・スコットやジョン・ミルトンなどヴィクトリア時代の詩人の作品を美しく飾る挿絵画家としても名声を博しました。
≪この版画のテーマについて≫
フォスターは田園風景の画家として有名です。しかし彼にとって田園は重要な背景ではありますが、絵の中心となるテーマは常に子供たちです。彼の絵の中で遊ぶ子供たちは美しい自然を背景に生き生きと輝いています。
イギリスの爽やかな初夏。おそらく桜の園に続く小道の脇で、仲良し4人組が摘みたてのさくらんぼを分けて食べようとしています。桜の園では赤、白、黒と色とりどりの甘いさくらんぼがたわわに実って、少女達の食欲をそそります。おいしそうなものを選んで自分たちで摘んできたのでしょうが、少女達はどれから食べようかと真剣な表情で迷っている様子です。画面左に見えるゆりの花も彼女たちの無垢な愛らしさをいっそう強調しています。
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